スマートコントラクトってそもそも何なん? サクッと解説します!

暗号資産(仮想通貨)に関わっていると、「ブロックチェーン」や「スマートコントラクト」など、通貨を流通させるための技術についてもよく耳にしますよね。
前回はそんな暗号資産(仮想通貨)を流通させる技術の中からブロックチェーンの種類ついて少し深ぼって解説しました。
では今回はといいますと…
これまた暗号資産(仮想通貨) とは切り離せない技術、「スマートコントラクト」に関して解説してみたいと思います!
もちろん、ブロックチェーンってそもそも何?という方向けにブロックチェーンの「基本のき」を解説した記事も用意していますのでご安心ください!
まず、「ブロックチェーン」を理解してから「スマートコントラクト」を理解すると、より分かりやすいですよ!
それでは、さっそくスマートコントラクトの世界を覗いてみましょう。
-スマートコントラクトの基本-
まずは基本を抑えておきたいですよね。
ではスマートコントラクトとはなんぞや、からお話していきます。
結論から言ってしまうと、「あらかじめ契約が執行されるルールを決めておき、ルールが成立した場合にのみ契約が執行される」この一連の流れを自動化している仕組み(一連のプログラム)これこそスマートコントラクトなのです。
意外に分かりやすい仕組みですね!
ですが、驚かされるのは現在最先端で使われているこのスマートコントラクトという仕組み、実は1994年にニック・スザボ (Nick Szabo)という暗号学者が既に提唱していたのです。
その後2013年に、有名なヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏により、弱冠19歳でイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーン上に実装可能なスマートコントラクトが提唱されています。
スマートコントラクトを直感的に捉えるためによく使われる例として自動販売機があります。
自動販売機で自分が飲み物を手にするまでの過程を想像してみましょう!
1, まず自動販売機には決められた「価格」が設定されており、設定された金額以上のお金を投入する事で取引が自動で開始されます(事前に決められた規定のルール)
2, 次に事前に決められたルールを満たした事で私たちは、飲み物を獲得する権限が与えられます。(取引の自動開始)
3, 2を満たしたことで私たちは欲しい飲み物を獲得し、更にお釣りも自動で出てきます。(契約の自動執行と所有権の移転)
上記1~3の流れの中では第三者の介入はなく、あくまで予め決めておいたルールと飲み物が欲しい参加者だけで取引が成立しています。
この例は古典的ではありますが、立派なスマートコントラクトと言えるでしょう。
-スマートコントラクトのメリットって?-
では、ブロックチェーン上でスマートコントラクトという仕組みを採用するメリットはどのような点があげられるのでしょうか?
大きく「信頼性」「透明性」「コスト面」の3点が挙げられます。
– 信頼性 –
まず、スマートコントラクトの仕組みを使えば先ほどの自動販売機のように取引において第三者の介入が必要なくなります。
また、予め決められたルールが満たされた時のみ取引の実行を行いますので、信頼性が担保されます。
– 透明性 –
さらにスマートコントラクトで取引された内容は、ブロックチェーン上で公開されます。
その為、万が一の不正を見逃す可能性が格段に低くなります。
– コスト面 –
そして「コスト面」に関してですが、通常の取引においては第三者の介入があり、手数料などが必要ですが、スマートコントラクトを用いた取引に第三者や仲介者は存在しない為、手数料が不要となります。
この為、「コスト面」においても削減することができるという大きなメリットがあります。
-スマートコントラクトの課題点-
ここまで、スマートコントラクトの良い面に焦点をあててきました。
これだけ見ると「え、めっちゃいいやん! 完璧なシステムやん!」と言いたくなる所ですが、実は「ブロックチェーン」や「スマートコントラクト」は現段階で、ちょうど発展途上にあり過渡期なのです。
発展途上にあるという事はまだ解決すべき課題は残っているのです。
それではスマートコントラクトの大きな課題点をいくつか挙げてみましょう!
– 脆弱性 –
まず脆弱性問題は、解決すべき課題点といえるでしょう。
なぜかというと、スマートコントラクト自体がプログラムであり、コンピューターシステムであるが故に、スマートコントラクトが複雑に組み上げられるようになればなるほど、バグやハッキングが発生する確率が上昇していきます。
実際、2016年にThe Dao事件という、イーサリアム(Ethereum)上にスマートコントラクトに基づいた運営をしている
投資ファンドがプログラムの穴を突かれ、おおよそ52億円ものETHが盗まれる事件が発生しています。
– 法的課題 –
法的課題に関しては、IT業界全体に言えることですが、急速なIT革新に法整備が追いつかないという現状がやはりスマートコントラクトにも例にもれず大きな障壁の一つとしてあります。
具体的には、スマートコントラクトは法律に対して拘束がある契約を自動化します。
こういった自動化が法律に触れた場合には、法律改正が必要となってくるケースが今後起こり得ます。
ただ、既に「スマートコントラクト推進協会」が2020年10月に発足しており、法整備等に動き出していますので、課題解決の方向性は見えてきています。
– プライバシー –
そして、プライバシーに対する課題も必然的に解決すべき点です。
プライバシー課題においてはメリットである「透明性」の裏の顔と言い換えることができるかもしれません。
なぜなら、ブロックチェーン上には全ての取引が記録されており、スマートコントラクトの活用で契約時の透明性が高くなると、結果として保護しなくてはならない個人の特定も容易となってしまうからです。
ただ、こちらに関しても参加者の認証を行う事での対策や、2017年より「スマートコントラクトの匿名化を掲げたプラットフォーム」の開発が始まっており悲観する必要性はないでしょう。
-おわりに-
駆け足で解説をしてきましたが、いかがだったでしょうか。
スマートコントラクトを社会へ普及しようという動きは、官民ともに高い意識を持っています。
スマートコントラクトの安全性がより強固となり、私達がより安心して便利に消費生活を送れるようなる日が待ち遠しいですね!
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少しでも、みなさんのお力になれれば幸いです。
(執筆:杉田)